「まだ紙の書類が山積みになっている」「ハンコや郵送のやり取りが多い」という中小企業は少なくありません。しかし経理の電子化・ペーパーレス化を進めることで業務効率が劇的に上がります。
本記事では経理実務経験者が経理の電子化・ペーパーレス化の具体的な進め方をわかりやすく解説します。
経理の電子化・ペーパーレス化とは?
経理の電子化とは、紙で行っていた経理業務をデジタルに置き換えることです。
具体的には以下のような業務が対象です。
- 請求書の電子化
- 領収書のデジタル保存
- 契約書の電子署名
- 帳簿のデジタル管理
- 経費精算のオンライン化
電子化・ペーパーレス化のメリット
1. コスト削減
紙・印刷・郵送・保管スペースのコストを大幅に削減できます。年間数十万円のコスト削減も可能です。
2. 業務効率化
書類の検索・共有・承認がデジタルで完結するため、業務スピードが大幅に上がります。
3. テレワーク対応
電子化することでどこからでも経理業務ができるようになります。
4. 法令対応
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が容易になります。
5. 紛失・災害リスクの軽減
デジタルデータはバックアップが簡単で、紛失や災害によるデータ消失リスクを大幅に減らせます。
経理電子化の進め方【ステップ別】
ステップ1:電子帳簿保存法を理解する
経理の電子化には電子帳簿保存法のルールに従う必要があります。主なポイントは以下の通りです。
- 電子取引データは電子データのまま保存が必要
- スキャンした書類は一定の要件を満たす必要がある
- クラウド会計ソフトを使えば自動で対応できる
ステップ2:請求書を電子化する
まず請求書の電子化から始めましょう。クラウド会計ソフトの請求書機能を使えば簡単に電子化できます。
メリット
- 郵送コスト・時間の削減
- 入金確認の自動化
- インボイス制度への自動対応
ステップ3:領収書・レシートをデジタル保存する
経費のレシートや領収書はスマホで撮影してデジタル保存します。クラウド会計ソフトのアプリを使えば撮影と同時に経費入力まで完了します。
ステップ4:契約書を電子化する
契約書は電子署名サービスを使って電子化できます。
おすすめの電子署名サービス
- クラウドサイン
- DocuSign
- freeeサイン
ステップ5:経費精算をオンライン化する
経費精算システムを導入してオンラインで完結させます。紙の申請書・ハンコが不要になります。
ステップ6:帳簿をクラウド管理する
クラウド会計ソフトで帳簿をデジタル管理します。いつでもどこでも帳簿にアクセスできるようになります。
電子化に役立つおすすめツール
| 業務 | おすすめツール | 月額料金 |
|---|---|---|
| 会計・帳簿 | freee会計【freee会計】
| 1,100円〜 |
| 請求書 | freee請求書・MFクラウド請求書 | 無料〜 |
| 経費精算 | freee経費・MFクラウド経費 | 500円〜 |
| 電子署名 | クラウドサイン | 無料〜 |
電子化を進める上での注意点
法令を確認する
電子帳簿保存法の要件を満たさない電子化は法令違反になる可能性があります。必ず要件を確認してから進めましょう。
一度に全部やろうとしない
一度に全業務を電子化しようとすると混乱します。請求書→領収書→経費精算の順に段階的に進めましょう。
社内の理解を得る
電子化は経理担当者だけでなく社内全体の協力が必要です。メリットをわかりやすく説明して理解を得ましょう。
【経験者の本音】IT企業でも「紙とハンコ」はまだ残っている
私は経理・総務の実務を長年担当してきましたが、正直なところ、IT企業でさえ紙とハンコの文化はまだまだ残っています。「電子化すれば紙はなくなる」というのは理想論で、現実はそう単純ではありません。だからこそ、最初から完全ペーパーレスを目指さないことが大事だと感じています。
契約書の押印文化は簡単にはなくならない
実務で特に根強いのが契約書の押印文化です。契約書は相手があって成り立つ書類なので、自社が電子契約サービスを導入しても、取引先が「押印した紙の契約書で」と言えば紙に戻ります。つまり契約書の電子化は、自社の努力だけでは完結しません。
全取引を一気に電子契約へ切り替えようとするのは現実的ではなく、電子契約に応じてくれる取引先から順に切り替えていく。紙とハンコが一定期間残ることを前提に、電子と紙の両方を管理できる体制にしておくのが現実解です。
経費精算の「紙レシート提出」も残っている
経費精算も同じです。スマホ撮影やスキャナ保存が制度上認められても、従業員の習慣は急には変わりません。撮影して提出できる仕組みを導入しても、紙のレシートをそのまま出してくる人は一定数残ります。仕組みを入れることと、運用が定着することは別物——これが実務者としての実感です。導入時は経理側で「紙でも受け取るが、撮影提出を基本にする」と段階を踏むのが定着への近道です。経費精算の仕組みづくりは経費精算を自動化する方法で詳しく解説しています。
「できるところから」で十分に成果は出る
完全ペーパーレスを目標に掲げると、残った紙を見て「うちは失敗した」と挫折しがちです。そうではなく、紙が残ることを前提に、自社だけで完結できて効果の大きいところ——帳簿のクラウド化、請求書の電子発行、電子取引データの保存——から着手すれば十分に成果は出ます。特に電子取引データの保存はすでに義務化されているので、ここを起点にするのが実務的です。詳しくは電子帳簿保存法の基本と対応方法をご覧ください。
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電子化とあわせて押さえておきたいテーマは次の記事で解説しています。
まとめ
経理の電子化・ペーパーレス化はコスト削減・業務効率化・法令対応を同時に実現できる取り組みです。まずは請求書の電子化から始めて段階的に進めていきましょう。
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