会計事務所と事業会社、経理はどっちが向いている?両方経験した立場での判断基準

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経理のキャリアを考えるとき、多くの人が最初に迷うのが「会計事務所と事業会社、どちらを選ぶか」です。ネットで調べると両方のメリットが並んでいて、結局自分はどちらなのか判断できない——そんな方に向けて書きました。

私は会計事務所からキャリアを始め、その後は事業会社の管理部門へ移り、現在はIT企業で総務部長として経理・総務・人事を統括しています。両方を経験し、今は採用する側・育てる側にもいる立場から、「自分はどちらが向いているか」を判断するための材料をお伝えします。

なお、両者の仕事内容や働き方そのものの違いは会計事務所と事業会社の経理は何が違う?で詳しく解説しています。本記事は「で、自分はどちらなのか」を決めるための記事です。

会計事務所が向いている人の4つの特徴

まず、会計事務所から始めることをおすすめしたいのはこういう人です。当てはまる数が多いほど、事務所で伸びる可能性が高いと考えてください。

1. 幅広い業種・事例を見て力をつけたい人

会計事務所では複数のクライアントを同時に担当します。業種も規模も違う会社の数字を短期間で数多く見られるのは、事務所ならではの環境です。事業会社では10年かけても1社分の経験ですが、事務所なら同じ期間で何十社分の事例に触れられます。この経験値の差は、後々のキャリアで効いてきます。

2. 税務の専門性を身につけたい人

申告業務を数多くこなせるのは事務所の大きな利点です。事業会社では年に一度しか経験できない決算・申告を、事務所なら何件も担当します。将来的に税理士を目指す方や、独立を視野に入れている方は、まず事務所で税務の土台を固めるのが近道です。

3. スピード・量をこなせる人

正直に言うと、事務所は処理量が多いです。だからこそ仕訳や会計処理のスピードと正確性が鍛えられます。作業量が多くても淡々とさばける人、量をこなすなかで身体で覚えていくのが得意な人には合っています。

4. 人と話すのが苦にならない人

意外に思われるかもしれませんが、事務所の仕事は対人業務が多いです。クライアントの状況を聞き出し、数字を説明し、提案します。経理を「黙々と数字を扱う仕事」だと思って入ると、ギャップを感じるかもしれません。逆に、人と話すのが苦にならない人には向いています。

事業会社が向いている人の3つの特徴

1. 1社を深く知って関わりたい人

事業会社では、自社の事業を理解したうえで数字を扱います。どの部門がどう稼いでいるのか、なぜこの経費が発生しているのか——背景まで含めて把握できるのは、当事者だからこそです。広く浅くより、一つを深く知りたいタイプの方はこちらが合います。

2. 経営に近いところで数字を扱いたい人

事業会社で重要になるのが管理会計です。予算管理や原価管理、経営判断のための資料づくりなど、「自社を良くするための会計」が求められます。数字を経営の判断材料として使いたい人、経営陣に提言したい人には、事業会社の方が機会が多いです。予算管理の実務は中小企業の予算管理をAIで効率化する方法でも解説しています。

3. 生活のリズムを安定させたい人

事業会社は年間スケジュールが同じような流れで進むため、繁忙期の見通しが立てやすいという特徴があります。月次決算のタイミングや自社の決算期など、忙しくなる時期が読めます。生活のリズムを安定させたい方には、この予測しやすさが大きな利点になります。

【経験者の本音】会計事務所が向いていない人の特徴

ここからは、あまり語られない話をします。「まず事務所で経験を積むべき」という意見はよく聞きますが、誰にとっても正解というわけではありません。両方を経験し、今は人を採用・育成する立場から見て、事務所が向いていないと感じるタイプを正直にお伝えします。

  • 繁忙期の集中が耐えられない人:年末調整から確定申告にかけて、業務量が一気に集中します。この時期を毎年乗り越える必要があります
  • 複数担当の切り替えが苦手な人:会社ごとに業種も会計処理のルールも違うため、担当を切り替えるたびに頭の中の前提を入れ替える必要があります
  • ひとつをじっくり深めたい人:事務所は「広く」が基本です。一社にじっくり向き合いたいタイプには物足りなさが残ります
  • 納期に追われるのがストレスな人:申告期限という外部の期限に常に追われます。自分でペースを作りたい人にはきつい環境です

ここで大事なのは、これらは能力の問題ではなく相性の問題だということです。事務所が合わなかったからといって、経理に向いていないわけではありません。実際、事務所では苦しかった人が事業会社で力を発揮するケースを何度も見てきました。合わない環境で消耗するより、自分に合う場所を選ぶ方が結果的に成長できます。

結論:目指すゴールから逆算して決める

「もし今20代に戻れるならどちらから始めるか」——よく聞かれる質問ですが、私の答えは「目指すゴール次第」です。どちらが優れているという話ではなく、行き先によって最短ルートが変わるからです。

目指す姿おすすめのスタート
税理士・独立開業会計事務所(申告実務の量が決定的に効く)
管理部門の責任者・CFO事業会社(管理会計と経営視点を早く積める)
まだ決まっていない会計事務所(幅広い事例に触れて適性を見極められる)

ゴールが決まっていないなら、まず事務所で幅広く経験するのは合理的です。ただしそれは「事務所が上」だからではなく、選択肢を広げやすいからです。逆に、管理部門でキャリアを積みたいと決まっているなら、事業会社から始めても遠回りにはなりません。

そして、どちらを選んでも潰しが利きます。私自身、事務所での経験が事業会社で活き、両方を知っていること自体が強みになっています。市場価値の高め方については経理担当者のキャリアアップ戦略もあわせてご覧ください。

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経理のキャリアについては、次の記事でも解説しています。

まとめ

会計事務所と事業会社、どちらを選ぶかの判断材料を整理します。

  • 事務所向き:幅広い事例を見たい/税務の専門性を高めたい/量をこなせる/人と話すのが苦にならない
  • 事業会社向き:1社を深く知りたい/経営に近い場所で数字を扱いたい/生活リズムを安定させたい
  • 事務所が向かない:繁忙期の集中が辛い/担当の切り替えが苦手/ひとつを深めたい/納期に追われるのがストレス
  • 結論:目指すゴールから逆算する。優劣ではなく相性と行き先の問題

無理に合わない場所に留まる必要はありません。自分がどちらのタイプかを見極めて選べば、そこで積んだ経験は次のキャリアでも必ず役立ちます。これから経理のキャリアを考える方の参考になればうれしいです。

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